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ゆうゆう介護塾 第35話  「生きる姿勢とリハビリの効果」
オオビランジ

 Tさん(男性)が脳出血で入院されたのは86才の時でした。
一時生死をさ迷ったとのこと。3カ月後、片麻痺と言語障害でオムツをして寝たきりの状態で退院してきました。入院中、主治医よりリハビリの対象ではないと言われ、リハビリは受けずに退院されました。

 Tさんは言語障害があっても、頭脳はしっかりしていました。言っていることは何でも理解して、頭を振ったり、うなずいたりして意志表示をしてくれました。娘さんと養子さん、孫夫婦、ひ孫と4世代のにぎやかなご家族です。娘さんが主に介護に当たっていましたが、リハビリをしてもらえなかったことをとても残念に思っているようでした。

 「父は50才で司法書士の資格を取りました。82歳まで依託で村の仕事をしていました。とても頑張る人です。このまま寝たきりになる人ではないと思います。どうしてもリハビリを受けさせたいのです。きっと父は、もう一度歩けるようになると思います」
それはとても強い願いでした。

 入院していた病院の理学療法士が月2回だけなら訪問できるといってくれました。理学療法士の訪問の日はTさんの介護を担っているヘルパーや看護師が集まります。もちろん娘さんも一緒に、次に理学療法士の訪問までのリハビリの仕方と目標を教えてもらいました。ご本人の課題も提示されました。毎日少しずつリハビリやマッサージが行われました。
3カ月たちました。良い姿勢でベットの下に足を付けて座ることが出来るようになりました。

 その1カ月後、理学療法士の指導でベットの前においた机に両手をつけて一人で立ち上がりました。「凄い!」皆が拍手して驚きました。Tさんのうれしそうな顔。

 さらに3カ月後、ベット柵につかまりながら、ゆっくり歩けるようになりました。
発病して10カ月がたっていました。排泄はベッド脇に置かれたポータブルトイレでするようになりました。重度の障害のため、その度に介助が必要です。

 娘さんにとってはむしろオムツの方が介護が楽だと思われました。しかし、娘さんはとても嬉しそうに「お父さん、良かったね、良かったね」と励ましなから労を厭わず献身的に介護をされていました。

 訪問ヘルパーさんの仕事に車椅子散歩が増えました。ご近所の方たちも寄ってきて色々話しかけてくれます。

 するとどうでしょう。ほんの少しですが、言葉が回復してきました。
「おう、おう」うれしい時の表現です。「どうも、どうも」感謝や挨拶の言葉です。
「いや」断る時の言葉です。こんな簡単な言葉でも生活は豊かになりました。

 発病して6年後。92才でTさんは自宅でご家族に見守られながら、お亡くなりになりました。最後の1年間は退院の時と同じ寝たきりになりましたが、それまでのリハビリが良かったのか、関節の拘縮が少なく介護がスムーズに出来ました。娘さんは「あのままの寝たきりの生活だったら、心残りだった。父に親孝行できたと思います」と満足されてお父さんの死を受け入れました。


ケースから学ぶ
 
 リハビリは、受ける本人がそれまで生きてきた姿勢が影響すると何かの論文で読んだことがあります。何事も前向きにとらえ、努力し、積極的な生き方をしてきた人はリハビリ効果が大きいそうです。Tさんのケースはそのことを証明してくれました。

 リハビリは障害を持つ人に生きる希望を与えてくれます。目に見える効果がなくても、四肢の拘縮の予防や身体の血液循環を良くして体調を整えてくれます。13年前、訪問看護を開始したばかりの時、在宅の訪問リハビリが制度としてなかった時代の悲惨なケースを見てきました。

 両足の拘縮のために股が爛れていた方―1月12日のゆうゆう塾「4年間の悲痛な叫び」をご覧ください。両膝関節が拘宿のためくっ付いたままで、爛れと循環障害を起し、そこから細菌感染をおこし、両方の膝関節が腐ったようになり、足がグラグラして膝関節が外れそうになっていた方もいました。
 
 この4月から医療保険、介護保険それぞれが今までのようにリハビリが受けられない制度になってきています。もっと現場の実態や、何より障害あるご本人の意見を大事にした制度に戻してほしいと願っています。


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