blog index

介護ほっとステーション



<< 自伝 訪問看護物語   夫が膵臓癌を発病 | main |
自伝 そのぁ)問看護物語 夫の在宅死の経験

 自宅療養に入った最初の日、夫は行きつけだった居酒屋の鳥の焼き鳥が食べたいというのです。

私はすぐ飛んでいき事情を話して焼いていただき10串買ってきました。

3人の娘たちと夕餉のテーブルを囲みました。夫は「おいしいなあー」と言って1串だけ焼き鳥を食べました。うれしそうな顔が今でも浮かんできます。

その焼き鳥が夫が口にした最後の食べ物でした。

日に日に状態が悪化していきます。腹水がたまり、腸の動きが悪いのか水さえ飲んだ後胃から降りて行かないらしく吐き出して受け付けません。

そんな時、友人がカップに入ったアイスクリームを沢山お見舞いにくださいました。

夫は食べたいというのです。でも胃の中に入ると苦しくなるのは目に見えてます。

私は胃に入ったらカテーテルでだしてあげれば良いのではと思い至ったのです。

カテーテルを用意して夫にアイスクリームを食べさしました。

夫は「おいしいなあ、おいしいなあ」と言いながらペロリと食べるのです。

でも、食べ終わって間もなく吐き気を伴い苦しがるのです。

「お父さん、胃の中のアイスを抜いてあげるからちょっと我慢してね」

私はそう言って鼻から胃の中にカテーテルを入れアイスクリームを抜き出しました。

すると「ああ、楽になった。アイスクリーム美味しいなあ。また食べたい」

その後何度もアイスリームを食べては私がカテーテルで抜いてあげました。

夫はたぶん糖尿病にかかっていて糖分が欲しくてアイスクリームが本当に美味しかったのだと思います。

 

また、腹水がたまりお腹が張って便意があるのですが浣腸してポータブルに座っても便が降りてきません。

腹圧をかける力もないようでした。

私は大きな穴のあいた太いカテーテルを直腸に入れて泥状になっている便を太いチップスで吸い出しました。

真っ黒な水様便が出てきました。300CCくらい吸い出すことが出来ました。

夫は楽になったと大喜びでした。

 

夫は風呂に入るのが大好きでした。

自宅療養に入ってまだ歩けるうちはお風呂に何回か私の介助で入ることができましたが、すぐに寝たきりで動けなくなり

私一人では入れられません。

すると夫は男子の教え子がお見舞いに来ると「おい、風呂に入れてくれ」と頼むのです。

夫の身体を教え子の方に背中から抱えてもらい私は足を抱えて浴槽に沈めてあげました。

すると夫はうれしそうに浴槽の中で顔を洗ったり背中をタオルでこすったりして楽しんでいるのです。

 

身体全体に浮腫みが出てからは体重が重く二人だけでは抱えきれません。教え子の男子の方が二人で来てくれました。

最後の入浴は一人が背中から二人は足を一本ずつ抱えて浴槽に沈めました。

やはり、とても喜んで入浴を楽しんでいました。

その二日後、夫は意識を失いこんこんと一週間眠り続け平成60年6月11日の日が変わる23時ころ眠ったまま息を引き取りました。

不思議なことがあるのですね。その一時間前に高等学校教職員組合の役員の方々がわざわざ長野市での会合の後に「虫の知らせ」があったからと10人の先生方が我が家にお見舞いに来てくださったのです。

夫の二人の兄、私の両親、そして三人の娘たち、10人の教員の仲間たち、大勢の方々が夫の死の瞬間を立ち会ってくださりあの世に旅立ったのでした。

 

私は深い悲しみの中、自宅での看取りを心から良かったと思い、夫がこれからの私の生き方に示唆を与えてくれたに違いないと思ったのでした。

 

 

 

 

 

 

| 今村 洋子 | - | 15:58 | comments(0) | trackbacks(0) |
スポンサーサイト
| スポンサードリンク | - | 15:58 | - | - |
コメント
コメントする


この記事のトラックバックURL
http://kaigojuku.jugem.jp/trackback/397
 123456
78910111213
14151617181920
21222324252627
28293031   
<< July 2019 >>
おしゃべり広場掲示板
≪おしゃべり広場−入口−≫
掲示板への書き込みは現在休止しておりますが、過去の記事はご覧いただけます。洋子さんへのメッセージ、ご質問はブログのコメント欄へお願いいたします。
アウトリーチから
≪あなたもブログをつくりませんか≫ 今話題のニューメディア、ブログで情報発信したいけれど…、「技術的に自信がない、時間の余裕がなくて管理ができない」という方に、アウトリーチがブログ作製・管理のお手伝いをいたします。まずはメールで気軽にお問い合わせください。
【メールはこちらをクリック!】

『チャレンジドZAKKYのバリアフリー探検記!』
アウトリーチの当事者スタッフが書いているブログです。彼女が皆さまのブログをサポートします。


bolg index このページの先頭へ